発達障害のある子はプログラミングに向いている?特性との相性を考える

公開日:2021年12月28日
最終更新日:2026年8月31日
「発達障害のある人はプログラミングに向いている」と紹介されることがあります。興味のあることに集中しやすい、規則やパターンを見つけることが得意といった特徴が、プログラミングと合う人がいるのは事実です。
一方で、診断名だけで向き・不向きは決められません。自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとする発達特性の現れ方は一人ひとり異なります。プログラミングにも、曖昧な要望を整理する、エラーの原因を探す、人と相談する、予定変更に対応するなど、さまざまな力が必要です。
大切なのは、「発達障害だからプログラミングをさせる」ことではなく、本人がどの活動や方法なら力を発揮しやすいかを実際の体験から確認することです。
プログラミングと相性がよい場合
結果が画面で分かりやすい
入力した命令によってキャラクターが動く、音が鳴る、形が変わるなど、操作と結果の関係が見えやすい活動があります。言葉だけの説明より、変化を目で確認できる方が理解しやすい子に合う場合があります。
何度でも試し直せる
プログラムは、うまく動かなければ順番や数値を変えて再実行できます。失敗を消して終わりにするのではなく、原因を探し、別の方法を試す材料として扱えます。
興味のある世界を作品にできる
ゲーム、キャラクター、電車、音楽など、本人の興味を作品へ取り入れられます。学ぶ内容から入るよりも、「作りたいもの」を実現するために必要な操作を覚える方が取り組みやすい子もいます。
手順を整理しやすい
完成までの工程を小さく分け、一つずつ確認できます。文部科学省も、プログラミング的思考を、目的を実現するために必要な動きの組み合わせや改善方法を論理的に考える力として説明しています。
負担になりやすい場合もある
プログラミングは、いつも規則どおりで曖昧さがない活動ではありません。
- エラーメッセージの意味が分かりにくい
- 期待したとおりに動かず、気持ちの切り替えが難しくなる
- キーボードやマウスの操作に負担がある
- 画面の光、音、長時間の座位で疲れやすい
- 共同制作で相談や役割調整が必要になる
- 自由に作る課題では、何から始めるか決めにくい
こうした負担がある場合、本人の努力不足と考えるのではなく、課題の出し方、操作方法、休憩、環境を調整します。それでも合わないときは、無理に続けず、イラスト、動画、工作、ロボットなど別の入口を試します。
「向いているか」を確認する5つの視点
- 自分からもう一度触ろうとするか
大人に促されなくても、続きをやりたい様子があるかを見ます。 - うまくいかないときに戻れるか
一度離れて再開する、助けを求めるなど、自分に合う対処ができるかを見ます。 - 好みや考えが作品に表れているか
教材をこなすだけでなく、色、動き、テーマなどに本人の選択があるかを確認します。 - 必要な支援が分かるか
見本、手順表、口頭説明など、どの支援があると進めやすいかを探します。 - 活動後に疲れすぎていないか
集中しているように見えても、活動後の強い疲労や不調が続く場合は量や時間を見直します。
IT分野の就労と発達特性
海外には、通常の面接だけでは力を示しにくい神経多様性のある人に向け、選考方法や職場の支援を調整する企業があります。たとえばMicrosoftは、面接準備や職場理解を含むNeurodiversity Hiring Programを設けています。
ただし、こうした取り組みがあることと、「発達障害のある人はIT職に向いている」という結論は同じではありません。ITの仕事にも、開発、デザイン、検証、運用、顧客対応など多様な役割があり、必要な力も異なります。本人の技術だけでなく、採用方法、業務の分け方、周囲の理解、合理的配慮が働きやすさに影響します。
診断名や著名人の推測を根拠に将来を決めるのではなく、子どものうちから複数の活動に触れ、興味、得意な工程、必要な支援を知っていくことが、将来の選択肢を増やします。
カラフルでの取り組み
カラフルでは、プログラミングを全員に同じ方法で教えるのではなく、ゲーム制作、動画編集、イラスト、ロボットなど複数の活動を用意しています。体験では、本人が何に関心を示すか、どのような説明や環境なら取り組みやすいかを確認します。
目標は、早い段階でIT職を決めることではありません。好きなことに出会い、自分に合う方法を知り、「もう一度試したい」と思える経験を増やすことです。
