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はじめに

子育ての日常は本当に忙しく、思うようにいかないことも多いですよね。
周囲の子と比べてできないことに目が向きやすく、「なんで片づけられないの?」「また忘れてるの?」とつい強い言葉をかけてしまうこともあると思います。

そんなときに思い出してほしいのが「脳は主語を認識しない」という比喩です。
これは神経科学の厳密な定説ではありませんが、言葉の持つ影響を理解するためのわかりやすい考え方として広く紹介されています。
つまり、相手に投げかけた言葉は、脳の中で「自分に言ったもの」として処理されることがある、ということです。

たとえば「どうしてできないの?」と子どもに言ったとき、その言葉はまず自分の耳に届きます。
脳は主語を区別せず「自分ができない」と受け取ってしまい、親自身も落ち込みやすくなる。
逆に「できたところもあるね」「ありがとう」と言えば、それは自分にも返ってきて、心が軽くなるのです。


言葉は相手に届く前に自分を通る

人に向けて発した言葉は、必ず自分の耳を通り、心を通過してから相手に届きます。
だからこそ、ネガティブな言葉は自分を傷つけ、ポジティブな言葉は自分を励ましてくれるのです。

親への影響

子どもに「なんでできないの?」と繰り返すと、親自身の気分もどんよりしてしまいます。
言葉がブーメランのように返ってきて、「自分もダメな親なのでは」と自己否定の感情を呼び起こすことさえあります。

子どもへの影響

一方で子どもは、親からの言葉を「自分の評価」として強く受け止めます。否定的な言葉は「自分はできない子」「また怒られる子」という自己イメージにつながりやすく、自己肯定感を下げてしまうのです。


ポジティブな言葉がもたらす力

自己肯定感を育てる言葉

「ありがとう」「助かったよ」「工夫したね」といった肯定的な言葉は、子どもの心に「自分は役に立っている」「自分にはできることがある」という感覚を育てます。
これは心理学でいう「有能感」と呼ばれるもので、自己肯定感の土台になります。

発達障害のある子は「できないこと」に注目されやすい環境にいます。
だからこそ、家庭での声かけで「できたこと」「頑張ったこと」を具体的に伝えることが、自己肯定感を守るうえで大きな意味を持ちます。

親の自己肯定感も支える

ポジティブな言葉は子どもだけでなく、親自身の気持ちも前向きにしてくれます。
例えば「ありがとう」と子どもに伝えると、その言葉を耳にした自分の脳も「自分は感謝を伝えられる人だ」と認識し、気持ちが温かくなるのです。


自分にかける言葉も大切

親であれば誰しも、「また怒ってしまった」「自分はだめな親だ」と自分を責めてしまうことがありますよね。
そんなときこそ、自分への言葉づかいを意識してみてください。

  • 「また怒ってしまった」 → 「今日は一歩我慢できた」
  • 「何もできなかった」 → 「夕食だけは作れた」
  • 「私はだめな親だ」 → 「悩みながらも工夫している親だ」

こうしたセルフトーク(自分にかける言葉)は、自己肯定感を回復する強力な手段になります。
親が自己肯定感を持てると、子どもにも安心感が伝わり、関係がより良いものになります。


日常で使える具体的な工夫

1. 「できたこと探し」を習慣に

子どもが全部はできていなくても、一部を認める言葉を意識しましょう。
例:「机の上をきれいにできたね」「時間を守って始められたね」

2. 行動を具体的に褒める

「すごいね」よりも「最後まで座って話を聞けたね」「友達に声をかけられたね」と、具体的な行動に言及すると子どもの理解が深まります。

3. 感謝の言葉を積極的に

「ありがとう」を毎日一回は伝えると決めるだけで、家庭の雰囲気が変わります。
子どもにとって「認められている実感」が自己肯定感を支えるのです。

4. 否定語を言い換える

「なんでできないの?」 → 「どうしたらうまくできるかな?」
言葉を少し変えるだけで、子どもの受け止め方も、親の気持ちも変わります。


まとめ

心理学研究では「ポジティブな自己対話(セルフトーク)が自己肯定感を高める」ことや「感謝の習慣が幸福感を支える」ことが報告されています。

日々の言葉は、子どもに届く前に自分の心を通り抜けます。
だからこそ、ネガティブな言葉は自分も子どもも傷つけ、ポジティブな言葉は自分と子どもを励まします。

「悪口より感謝」「否定より承認」。
この意識を少しずつ取り入れることで、発達障害のある子どもの自己肯定感を支えると同時に、親自身の自己肯定感も守ることができます。

今日からほんの少し、「ありがとう」「できたね」という言葉を意識してみませんか?
それは子どもの心を強くし、同時に親である自分の心も前向きにしてくれる一歩になるはずです。

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