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はじめに

「どうしてこんなに勉強が苦手なんだろう」「頑張っているのに、なかなか成果が出ない」――このような子どもの学習に悩む保護者の声は少なくありません。
特に「読む」「書く」「計算する」といった基礎的な学習でつまずく場合、学習障害(LD)の可能性があります。

学習障害(Learning Disabilities, LD)は、知的発達に遅れがないにもかかわらず、特定の学習領域に顕著な困難が現れる状態を指します。これは怠けや努力不足ではなく、脳の情報処理の特性によるものです。

本記事では、学習障害の基本的な理解から、読字障害・書字障害・算数障害ごとの具体的な家庭支援方法と便利なツールまで、実践的にまとめました。保護者がすぐに家庭で使える工夫を中心に紹介します。


学習障害(LD)の基本理解

どんな特徴があるの?

学習障害は大きく分けて以下の3つに分類されます。

  1. 読字障害(ディスレクシア)
     文字を読むことに困難がある。文字を飛ばす、順序を入れ替える、読むスピードが極端に遅い。
  2. 書字障害(ディスグラフィア)
     文字を書くことに困難がある。字形が不安定、板書が苦手、手書きを極端に嫌がる。
  3. 算数障害(ディスカリキュリア)
     数字や計算に困難がある。繰り上がり・繰り下がりの理解が難しい、時計が読めない、数の概念が曖昧。

周囲から誤解されやすい

学習障害は外見では分かりづらく、「やる気がない」「怠けている」と誤解されることもあります。しかし本人は精一杯頑張っており、適切な支援があれば大きく成長できるのです。


読字障害(ディスレクシア)への家庭支援

支援のポイント

  • 無理に音読させず、「内容理解」に集中できる方法を探す
  • 視覚的に「読みやすく」する
  • 多感覚を活用して記憶を助ける

家庭でできる工夫

  • 読み聞かせ:親が読んであげたり、音声読み上げアプリを活用。
  • リーディングルーラー:行に沿って、定規や下敷きをあて、読んでいる行だけを強調し、飛ばし読みを防ぐ。
  • 文字サイズ・行間を広げる:読みやすいプリントを自作する。
  • 短時間学習:10分単位に区切り、集中を持続。

便利ツール

  • UDデジタル教科書体 / OpenDyslexic(読みやすいフォント)
  • Microsoft Immersive Reader(読み上げ+フォント調整)
  • Google Read&Write(読み上げ+辞書機能)
  • オーディオブック(Audible, audiobook.jp)
  • リーディングトラッカー(一行のみ見えるように切り抜かれたシート)

書字障害(ディスグラフィア)への家庭支援

支援のポイント

  • 手書きのストレスを減らし、代替手段を導入
  • 書く量を減らして「要点だけ」書く工夫
  • 手先の動きを鍛える遊びで基礎力アップ

家庭でできる工夫

  • 太い鉛筆やグリップペン:筆圧をかけやすい。
  • 大きめのマス目ノート:字が崩れにくくなる。
  • 板書は写真で代替:ノート写しの負担を減らす。
  • 音声入力:作文や宿題を効率化。
  • 遊びを通じた運筆練習:折り紙、迷路、塗り絵。

便利ツール

  • iPad + Apple Pencil(修正が簡単で板書代替に最適)
  • Google Docs音声入力(作文や記録に活用)
  • タイピング練習アプリ(Typing Club, 寿司打
  • GoodNotes, Notability(ノート管理アプリ)

算数障害(ディスカリキュリア)への家庭支援

支援のポイント

  • 数字を「見える形」にする
  • 計算手順を整理・色分け
  • 実生活とつなげて理解させる
  • ゲーム感覚で楽しく学ぶ

家庭でできる工夫

  • 数直線・ブロックで数量を視覚化
  • 色分けした計算カードで手順を明確化
  • 生活の中で数を使う(買い物、お釣りの計算)
  • すごろく・カードゲームで数の大小を自然に体験

便利ツール


自己肯定感を育む声かけ

学習障害のある子どもは、学校で「できない」と感じる場面が多く、自己肯定感を失いやすいです。家庭では結果よりも過程を評価しましょう。

  • 「最後まで頑張ったね」
  • 「工夫してできたの、いいね」
  • 「一緒にやってみよう」

小さな達成を積み重ねて、「できる!」という感覚を子どもに与えることが大切です。


保護者が気を付けたいこと

  1. 他の子と比べない
  2. 完璧を求めない
  3. 保護者自身も休む

子どもを支えるには、親自身の心の余裕が欠かせません。


専門機関やサービスの利用

  • こども発達センター・教育相談所
  • 放課後等デイサービス
  • 医療機関(発達外来・小児神経科など)
  • オンラインセミナー(無料で最新情報を学べる場)

まとめ

学習障害(LD)は努力不足ではなく、脳の特性によって生じるものです。だからこそ、支援やツールを活用することで、子どもは自分の力を発揮できるようになります。

  • 読字障害:読み上げやフォント調整
  • 書字障害:ICTや音声入力
  • 算数障害:視覚化・生活体験

家庭での工夫と専門機関との連携が、子どもの未来を支える大きな力となります。

「うちの子はどうして…」と悩むのは一人ではありません。同じ課題に直面している家庭はたくさんあります。支援方法を知り、子どもの得意なやり方で学びを支えていきましょう。

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