ピアジェの発達段階とは?4つの段階の特徴と、家庭でできる関わり方

公開日:2025年9月18日
最終更新日:2026年10月16日
細いコップに水を移しかえると、「こっちのほうが多い!」と言う。量は変わっていないのに、どうしてそう考えるのでしょうか。
スイスの心理学者ジャン・ピアジェは、子どもには年齢ごとに特有のものの考え方があり、それが段階的に変わっていくと考えました。ピアジェは子どもの認知発達(ものの見方や考え方の発達)を、感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期の4つの段階に分けています。
この記事では、4つの段階の年齢の目安と特徴を具体例で説明し、理論の限界と、家庭での関わり方を紹介します。
ピアジェの発達段階とは
ピアジェの4つの段階は、次のように整理されます。
| 段階 | 年齢の目安 | 主な特徴 | 家庭で見られる例 |
|---|---|---|---|
| 感覚運動期 | 0〜2歳ごろ | 見る、触る、体を動かすことを通して周りの世界を知る | 隠したおもちゃを探す |
| 前操作期 | 2〜7歳ごろ | 言葉やイメージを使って考え始める。見た目に判断が引っ張られやすい | ごっこ遊び、背の高いコップのほうが多いと考える |
| 具体的操作期 | 7〜11歳ごろ | 目の前にある物を使えば、筋道を立てて考えられる | 物を色や形で分ける、順番に並べる |
| 形式的操作期 | 11歳ごろ以降 | 目の前にないことや、仮の条件について考えられる | 「もし〜だったら」と考える |
年齢は目安です。資料によっては、具体的操作期を7〜12歳、形式的操作期を12歳以降としているものもあります。
大切なのは、年齢で段階を当てはめることではありません。子どもの様子をよく見て、今どのような考え方をしているかを知る手がかりとして使うことです。
感覚運動期(0〜2歳ごろ)とは
体と五感で世界を知る時期
生まれたばかりの赤ちゃんは、反射的な動きから始まり、見る、触る、口に入れる、動かすといった体験を重ねて周りの世界を知っていきます。
この時期を通して、物が見えなくなってもそこに存在し続けることを理解していきます。これを「物の永続性」といいます。
いないいないばあ・積み木で遊ぶ
工夫1:いないいないばあ
顔が隠れて、また現れる。この遊びを繰り返すことは、見えなくなったものがまた出てくる体験を、楽しみながら重ねる機会になります。
工夫2:積み木・コップ重ね
積んだり崩したりすると、「大きいものを下にすると倒れにくい」「小さいものは上に乗る」といったことを手で確かめられます。台所のプラスチック容器を重ねるだけでも遊べます。
前操作期(2〜7歳ごろ)とは
ごっこ遊びが広がり、見た目に引っ張られやすい時期
言葉やイメージを使って考えられるようになり、ごっこ遊びやお絵描きが広がります。積み木を電話に見立てるように、あるものを別のものに見立てて遊ぶ姿も見られます。
一方で、物事を自分の視点から捉えやすい時期でもあります。ピアジェはこれを「自己中心性」と呼びました。わがままという意味ではなく、自分とは違う立場からの見え方を想像するのがまだ難しい、という意味です。
また、見た目の変化に判断が引っ張られやすいのも特徴です。同じ量の水を細くて背の高いコップに移すと、「こっちのほうが多い」と考えることがあります。形が変わっても量は変わらないという理解(保存)は、次の具体的操作期に身につくとされています。
お店屋さんごっこ・水の移し替え
工夫3:お店屋さんごっこ
「いらっしゃいませ」「これください」と役を演じる遊びは、店員さんやお客さんなど、自分以外の立場を演じてみる機会になります。順番を待つ、お金を渡すといったやりとりも含まれます。
工夫4:水や砂の移し替え
同じ量の水を形の違う容器に移しかえ、計量カップで量ってみます。この時期は、量ってみても「細いほうが多い」と感じることがあります。すぐに分からなくても構いません。一緒に試して確かめる時間そのものを楽しめると十分です。
具体的操作期(7〜11歳ごろ)とは
目の前の物を使えば、筋道を立てて考えられる時期
形が変わっても量は同じだと分かるようになり、物を種類ごとに分けたり、大きさの順に並べたりすることが得意になっていきます。頭の中で「元に戻したら同じになる」と考えることもできるようになります。
ただし、筋道を立てて考えられるのは、主に目の前にある具体的な物や出来事についてです。目に見えない抽象的な問題を考えるのは、まだ難しいことがあります。
料理の計量・片付け・トランプ
工夫5:料理で計量
「100mLを2回入れると200mL」のように、計量カップを使うと数や量を目で見て確かめられます。料理には、数や量に触れる場面がたくさんあります。
工夫6:片付けを分類ゲームに
「赤いブロックは赤い箱」「丸いものはこの引き出し」と、分けるルールをゲームのように決めて片付けます。どんなルールで分けるかを、子どもと一緒に考えてもよいでしょう。
工夫7:トランプやすごろく
順番を守る、ルールに従う、数を比べる。トランプやすごろくには、こうした要素が自然に含まれています。勝つこともあれば負けることもある経験も、遊びの一部です。
形式的操作期(11歳ごろ以降)とは
「もし〜だったら」と考えられる時期
目の前にないことや、実際には起きていないことについても、筋道を立てて考えられるようになります。
「もし〜だったら、どうなるだろう」と仮説を立てて確かめることや、いくつかの条件を一つずつ変えて結果を比べることもできるようになっていきます。ただし、11歳を過ぎれば誰もが、すべての場面で抽象的に考えられるという意味ではありません。
紙飛行機の実験・家庭のルールの話し合い
工夫8:紙飛行機の実験
「翼の形を変えたら、遠くまで飛ぶかな?」と予想を立て、実際に飛ばして比べます。翼の形だけを変えて、ほかの条件はそろえる。そうした比べ方を一緒に考えるのも楽しみ方の一つです。
工夫9:家庭のルールの理由を話し合う
「なぜ9時に寝るのか」「なぜスマホの時間を決めるのか」を一緒に話し合います。ルールの理由を言葉にしてやりとりすることで、子ども自身の考えも聞くことができます。
工夫10:「もし〇〇だったら?」と想像する
「もし先生になったら?」「もし宇宙に行けたら?」といった仮の話題は、目の前にないことを考える会話のきっかけになります。
ピアジェ理論の限界と、いまの捉え方
ピアジェの理論は、子どもの考え方の変化を段階として整理したものとして、教育や発達心理学で広く紹介されてきました。一方で、その後の研究からは、理論どおりにはいかない点も示されています。
段階の時期は目安
ピアジェは、物の永続性が感覚運動期を通じて段階的に形成されると考えました。その後、3か月半〜4か月半の乳児を対象にした実験で、隠れた物が存在し続けることを理解している可能性を示す結果が報告されています(Baillargeon, 1987)。ただし、この実験は乳児が隠れた物を実際に探す行動ではなく、出来事を見る時間を用いて理解を推測したものです。
前に述べたとおり、資料によって段階の年齢区分にも違いがあります。段階の時期は、はっきりした区切りではなく目安として捉えるのがよいでしょう。
同じ子どもでも、考え方は一つに決まらない
心理学者のロバート・シーグラーは、子どもの考え方は同じ時期であっても一つに決まらず、変動が大きいことに注目しました(Siegler, 1996)。ある場面では進んだ考え方ができても、別の場面では以前の考え方を使うこともあります。
ピアジェの段階は「この年齢ならこうなる」という決まりではありません。子どもを観察するときの手がかりの一つとして使うのが現実的です。
発達に特性のある子どもと関わるときに
ここまで示した年齢は目安です。発達に特性のある子どもに限らず、子どもの考え方の育ち方には個人差があります。
年齢から「もうできるはず」と考えるより、目の前の子どもが今どのように考えているかを見ることのほうが、関わり方のヒントになります。たとえば、言葉だけでは伝わりにくいときに、実物を見せたり、実際に一緒に試したりする。工夫の多くは、こうした「目で見て、手で確かめる」形にしやすいものです。
発達について気になることがある場合は、かかりつけの小児科や、お住まいの市区町村の子育て・発達の相談窓口に相談することもできます。
カラフルでの取り組み
浦安市のカラフルでは、子どもの「好き」を入口にした創作活動を大切にしています。この記事に関連する、制度の異なる2つのサービスをご紹介します。
| 項目 | 放課後等デイサービス カラフル | 日中一時支援 カラフル ゲームデザインラボ |
|---|---|---|
| 対象 | 小学1年生〜高校3年生 | 年長以上(年齢は要相談) |
| サービスの内容 | 個別支援計画に基づく継続的な発達支援 | 余暇活動や日中の活動場所として利用するサービス |
| 主な活動 | デジタル創作に基礎から取り組めます | ゲーム制作、プログラミング、3Dモデリング、動画制作、イラスト・ドット絵、ロボット・ものづくり |
制作の進め方の一例として、見本を見てまねるところから始め、色やルールを少し変え、慣れてきたら自分で企画して作るという段階があります。一人ひとりの経験や活動内容に合わせて進め方を調整します。
画面や作品の変化を確かめながら、試して直すことができる活動です。ゲームデザインラボの利用には、浦安市が発行する日中一時支援の利用者証が必要です。
興味のある方は、それぞれの支援内容や施設案内をご覧ください。
家庭でできる10の工夫(PDF)
この記事で紹介した10の工夫を、発達段階ごとにA4・1枚にまとめました。印刷して、ご家庭でお役立てください。
